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長いブランクののち、娘のお友達に初めて ピアノを教えることになった堀理世さん。
「私の教え方は、これでいいのだろうか」
指導法への不安。
もっと難しい曲を弾かなければ、という焦り…。
「先生」として人にピアノを教える責任が、 彼女の心を押しつぶしました。
それでも彼女はあきらめず、生徒さんにとって 本当に必要なレッスンを追い求め、 自信をつけていきます。
「生徒さんがいるから頑張れて、生徒さんの 存在が、私の癒しになっています」
模索する中でつかんだ教える技術と、音楽を 楽しむ姿勢が今、多くの生徒さんの心を ひきつけています。
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ピアノ講師 |
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堀 理世(ほり りよ)さん
家族構成 夫 、長女 10歳, 長男 6歳
堀さんのホームページ
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| このお仕事につくことになった動機、きっかけを教えてください!
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| 私には子どもが二人いるんですが、上の子が幼稚園の年長さんの頃、子どもの同級生のお母さんの中に、お子さんにピアノを習わせたいと思っている方がいらしたんですね。
そしてその方との、「私がピアノを教えたら習う?」というような世間話がきっかけになりまして、そのお子さんにピアノのレッスンを始めることになったんです。
私は小さい頃からピアノを習っていまして、困らない程度にはピアノを弾けましたので。
そして初めはレッスン代は頂かず、半ばテスト的にそのお子さんにレッスンに来ていただいたのですが、教え始めて2ヵ月後くらいに、お母さんのほうから「レッスン代を払います」と言っていただくことができました。
その後は、広告などで募集をかけることはなかったのですが、クチコミで生徒さんが少しずつ増えまして、今では20人ほどの生徒さんにピアノを教えています。
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<それまではどんなお仕事をされていたんですか> |
| 結婚する前は約2年間、一般の事務職についていました。
そして子どもが生まれて上の子が幼稚園に入る頃からは、通信教育の添削講師を3年間ほどしていました。
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| <今とは全く違うお仕事ですね> |
| ピアノに関しては、大学受験のときに、私も教育学部の音楽学科を目指したんです。
でも勉強も実技も付け焼刃でいい加減でしたので、合格することができず、そのときは「音楽の才能がないんだ」と思い、浪人して普通の大学へ行きました。
今考えると、音楽の才能があるとかないとかいう問題ではなくて、単なる努力不足だったと思うんですよね。
その後一般職のOLになり、結婚出産で退職し、結婚後は通信教育の添削講師を、と歩んできました。
事務職については、結婚してからも続けていこうと思うほどの未練もなかったので、結婚や出産を期に辞めたんですね。通信教育の添削講師のほうも、ずっと机の前に座っている、ということが自分には向いていないと思い、辞めました。
ただ、添削の仕事で私は大学受験のクラスを受け持っていたのですが、一生懸命な生徒さんの気持ちを知ることができたという点でとてもプラスになりましたね。
添削そのものについても私自身は理解でき、続けようと思えば続けられたのかもしれないのですが、わりとノルマが厳しくて、それを手際よくこなしていくということが苦手でしたので、見切りをつけました。
そして、何か好きなことを仕事にしたいと思っていたところ、今のピアノの先生という仕事に出会うことができました。
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お仕事をはじめてから気がついたことは何ですか? |
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子どもにピアノを教え始めてしばらくの間は、自分のやっていることや教え方が、本当にこれでいいのかどうかが分からなくて、すごく不安でしたね。
自分のやっていることが正しいのかそうでないのか、ということを誰も教えてくれませんし、生徒さんはピアノの先生というものを他に知りませんので、私の教え方が当たり前だと思うものなんです。
そして、そんな不安をもっていても、生徒さんは時間になればレッスンに来ます。
そのことがすごくストレスでした。
それでも最初の2〜3ヶ月の頃は、わけが分からないまま、ただ時が過ぎていったんですが、生徒さんが増え、お友達のお子さんではなく面識のない方のお子さんが来られるようになると、更なる責任を感じ、ますますそういう思いが強くなりました。
ですから、その頃はストレスのせいで、肌が荒れたりジンマシンが出たりしていました。
それほどのストレスになっているとは自分では思っていなかったんですが、そのストレスは気分のほうに出るのではなくて、体のほうに出てしまったんですね。 |
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| 自信がもてるようになったきっかけを教えてください! |
| 先生をはじめて半年くらいたった頃、娘のピアノの先生にお願いして、私もピアノを習っていたんですね。
そして習いに行き始めた頃は、私も「ピアノの先生なんだから難しい曲を弾けなくちゃいけない」って思っていたんです。
教えている立場なんだから、弾けて当然なはず、という、すごい焦りがありました。
でもそんな風に焦っても、いい結果は出ませんでしたね。
そして習い始めてから1年くらいたった頃、「今は学生時代に弾いていたような難しい曲は弾けない、基本からやり直そう」と開き直ったんです。
それから少し気持ちが楽になりました。
そして、基礎的なことを大切に、生徒さんレベルの曲が上手に弾ければいい、って気持ちを切り替えたんです。
レッスンで大切なのは、自分が難しい曲を弾けるとか弾けない、ということではなく、生徒さんが今弾いている曲を上手に弾くためには何が必要なのか、ということが大切なので、それに気づいてからは生徒さん本位のレッスンをするようになりました。
それから、1年半ほど前、中学時代の同級生から、「小学校の教員採用試験を受けるので、まだ残っているピアノの試験の指導をしてもらいたい」とお願いされたことがあったんですね。
「ピアノをやらなきゃいけないの」って。
そこで私も楽譜を読むときの注意点を教えたり、手の形や、楽譜を見て弾くことの大切さを伝えたりしました。
そして試験で、彼女は結果を出してくれたんですよ。
私の中ではそのことがすごくうれしかったんですね。
もちろん彼女がすごく頑張ったからこその結果だとは思うんですが、2回のレッスンで私が教えたことも合格につながったんだと思いまして、このことは私にとって大きな自信になりました。
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| <ピアノを習得するためには何が必要なのですか> |
| ピアノは、きちんとした指の使い方をしながら弾くことが大切なんですね。
そこを大切にしていかないと、のちのちに結局行き詰るときがきてしまうんですよ。
それから、手の形や動かし方、座る姿勢、体のどこに力を入れるのか、ということが大切ですね。
そういった基礎的なことをきちんと覚えながら練習しないと、たとえばこの姿勢で弾いていたらここで弾けなくなる、というようなときが、それぞれに時期は違っても、必ず来てしまうんです。
もちろん、専門的にピアノを練習したい、という場合には音楽性のほうも追求しなければいけないと思うんですが、私は先生として、小さいときに基礎的なことをきちんと教えてあげられればいいのかな、と思ったんですね。
そう考え始めたとき、気持ちが楽になりました。
初めのころは私も“見習いの講師です”、という気持ちでしたけれど、今は堂々と「ピアノを教えています」と言えるようになりました。 |
レッスンで心がけていることは何ですか
<レッスンのスタイル> |
| 普通、ピアノのレッスンというのは、生徒さんが家で練習してきたものを、先生ができているかどうか判断する場合が多いと思うんですが、私の場合はレッスンのときに弾けるようにして、弾けるようになったものを家で練習してもらっているんですね。
「ここに気をつけて練習しておいで」とか「これは弾けるようになったから、これを1週間でやっておいで」って。
「練習してきたかどうかをみます」というやり方だと、生徒さんも練習をしなかったら行かないですし(笑)、できなかったら、行くことがイヤになりますよね。
ですから私は、生徒さんが練習していなくても、「じゃあ時間いっぱい、一緒に練習しよう」という風にレッスンをしています。
それから、あまりお家で練習する時間のない子には、音階練習に時間を割いたり、コードネームというものの仕組みを教えたりしています。
子どもは頭が柔らかいので、そういうものはすぐに覚えてしまうんですよ。
そうやって、練習が苦手な生徒さんが、ピアノを弾くことの楽しさを忘れないよう、レッスンをしています。
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| <やっぱり生徒さんも、先生に怒られるのはいやですよね!> |
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そうなんですよね。
私は、レッスンでは、とにかく生徒さんをほめるようにしています。
「できるんだよ、大丈夫だよ」とか「上手だよ」とか、「良い手をしているね」とか、ほめてあげるんです。
生徒さんも、私がほめるとおうちでお母さんに、「ほめられたよ」と報告してくれているみたいです(笑)。
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| レッスンでの工夫を教えてください |
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指の動かし方や手の形を、どう説明すれば分かってもらえるのか、ということは、かなり考えてレッスンをしています。
たとえば小さい犬のぬいぐるみを生徒さんの両手に持たせて、「犬の首を持って、手首を動かしてごらん」とか、「ピアノの上でジャンプさせてごらん」と説明して、その後、その犬をとって「この手で弾くんだよ」と教えたりしています。
おそらく先生によっては通り一遍等に、「卵を持つように」と説明すると思うんですが、どうやったらその「卵を持っている手」になるのか、子どもには分からないんですよね。
自力ではなかなかできないんです。
ですから私は、指のどの部分に力を入れたらいいのかピンポイントで示してあげたり、指の動かし方、力の抜き方などは、なるべく具体的に目に見える物事に例えて、イメージをしやすいように説明することを心がけています。
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| <レッスンでの心がけや工夫は、どこからうまれたんですか> |
| ほめることに関しては、通信教育の指導方針の中に「とにかくほめる」というものがありまして、そこで「ほめることの大切さ」を教わりました。
そういう意味で、通信教育の講師の仕事で得たものは今の仕事にとても生きていますね。
それから私はもともと体育会系で、今はバレエやサルサを踊っていまして、学生のころは競技ダンス、いわゆる社交ダンスを踊っていました。
で、そのときに、ただひたすらステップを練習するのではなくて、どこに力を入れたら上手な姿勢になるのか、という、今ピアノを教える上でも生きるようなことを教わってきたんですね。
単に多くの練習量をこなすのではなくて、頭を使って練習する、ということは、ダンスを踊るときも、ピアノを練習する上でも大切なことだと思います。
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| お仕事をしていて、一番楽しいと思うこと、やりがいを感じることは何ですか? |
| 生徒さんが上達したり、練習の大切さをわかってくれたりすると、とてもうれしくなります。
こちらの提案に反応してくれる人がいるというのは、とても幸せなことだと思いますし、レッスンを楽しみにしてくれる生徒さんがいるから、私も頑張ろう、と思えます。
そして私が、生徒さんに癒されているんですよね。
この仕事を、思い切ってやってみて良かった、と今思いますし、つらいときもありましたが、やめずに続けてきて本当に良かったと思います。
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| 今後にどのような展望をもっていますか? |
| まずは3年くらいでリトミックのお教室を軌道にのせたいですね。
今は3月ですが、5月にはリトミックのお教室を開校したいと思っているんです。
リトミックに関しては、「小さい子にピアノをより上手に教えることができたら」という思いで1年前より講習に通っていますが、通ってみると、リトミックはピアノとはまた違ったものでしたね(笑)。
歌にあわせて手を叩いたり、数を数えたりして、2〜3才のクラスの場合だと“生きていくのに必要な要素を盛り込んだ内容”という感じでした。
そして最近仲のいいママ友達が、「家を貸し教室にするから、リトミックのお教室を開かない?」と声をかけてくれたんですね。
どうなるのか、ということは、まず動きだしてみないと分からないので、がんばってやってみようと思います。
それから、10年後には自分のレッスンスタジオを持ちたいです。
我が家って、1階に収納スペースがないんですよ。
はやくこの箱のようなところからピアノをよそに移したい〜って思っています(笑)
そしてそのためにはまず自分自身が一生懸命練習して、今まで以上に生徒さんに信頼されるようになりたいと思っています。 |
| 家事と仕事を両立するなかで、工夫していること、心がけていることは何ですか?
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| 買い物に行けない曜日もあるので、一週間の献立をたてて、買い物はなるべくまとめてしています。
夕飯の準備の時間が30分しかない曜日は、簡単に作れるものにしたり、時間に余裕のある日はちょっと手の込んだものを作ったりします。
できないものはできない、最低限これだけはやろう、と優先順位をつけ、家事に完璧は求めないようにしていますね。
学童保育が近くにあるので、子どもたちはそちらでお世話になっています。
自分の練習時間を確保するのは大変ですが、レッスンの空き時間や夕飯の片付けの前などにするようにしています。
片付けは深夜でも大丈夫ですが、ピアノは深夜には弾けませんので。
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